何話で終わりになるのかわかりませんが
新シリーズの小説風体験談。
カテゴリーでおいてありますので1話がまだの人は
そちらから読んでみてください。
『吹く風の強さ』第2話『待ち合わせた階』
彼との待ち合わせ場所は俺ん家から1時間くらいの所。
でもその日の仕事場はその場所とは真逆の所だった。
結局その場所に向かうには1時間半くらい
高速で移動しなければならないって言うのにいそいそと向かった。
メールをやり取りしながら移動。
「画像交換しませんか」
そんな依頼に写りの良い写真を送る事にした。
彼から送られてきた画像は大人しそうにも見えた。
SM系が好みのようには見えないその写真。
でもその大人しそうな感じに
久しぶりで高まる緊張感は少し落ち着いてきた。
彼は仕事でこっちに長期滞在してると言う話だった。
なので待ち合わせ場所は彼の宿泊してるホテル。
高級ホテルじゃないけどそこそこ有名な所。
出張サラリーマン御用達みたいなホテルは
ネクタイを締めている僕としてはとても入りやすい。
待ち合わせの階のエレベーターホールに着いた時点で
再度彼にメールした。
どこの部屋なんだろうと通路を眺めていたが
一向にドアは開かない。
するとエレベーターが降りてきた。
チーンと特有の音と同時に扉が開く。
写真の彼がジャージ姿で現れた。
そこまで用心しなきゃならないものか?
経験の浅かった僕はちょっと不満を感じてしまった。
なんか自分を信用されてない感じもしたんだ。
「一志さんですか?」
「はい、そうです」
そんな心配そうに聞かれるほど写真と違っていたんだろうか。
でも僕の返事を聞いた彼の表情は明るくなった。
「ここの階の部屋じゃなかったんですね。」
「うん。ごめんね。」
「ずっと廊下の方を見てたからちょっとびっくりしましたよ。」
「画像交換したけど実物と大きく離れた人もいるからね。」
「僕は大丈夫でした?」
「うん。大丈夫だよ。でも、僕で大丈夫?」
「はい。全然OKですよ。」
「僕の方こそいいんですか?」
「すごいタイプだよ。」
そんな風に言って貰えるとは思っていなかった。
緊張感が解れていく。
「じゃあ僕の部屋に行きましょうか。」
そう告げるとエレベーターのボタンを彼が押す。
開いた扉に入る彼の後について乗り込む。
2つ階を上がってすぐの部屋。
案内されて部屋に入ると彼に促されシャワーを借りる。
仕事で付いた匂いを落として
彼を受け入れる準備も一緒に行う。
まだ慣れてない僕はちょっと時間が掛かる。
今じゃちょちょいのちょいと終わる作業も
シャワーを使って自分の中に入れる水の量がちゃんと把握できないだけに
なかなかすっきりせずかなりの時間を使ってしまった。
なんとか違和感を払拭して風呂からあがる。
「お待たせしてすいません。ちょっと時間かかってしまいました。」
いつの間にか暗くなってる部屋に話しかけたが返事がない。
ぼんやりと光るテレビからはニュースが流れていた。
その光を頼りに彼の姿を探す。
すぐにベッドに横たわる彼を見つけたがどうやら寝ているようだ。
そんなに待たせてしまったのか。と罪悪感に駆られ
濡れた髪をタオルで拭きながら彼を眺めていた。
テレビがせわしないCMに変わった音で彼が目を覚ました。
「ごめん。寝ちゃった。」
「こちらこそ待たせてしまって申し訳ありません。」
「いいよ。きれいになった?」
彼は柔らかい笑顔で僕を見つめてきた。
(続く…)
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